お産卒業生●A・Tさん体験談
サークル卒業生A・Tさんのお産体験談です。いいお産の日にも展示させて頂きました。お気持ちが一杯詰まってて感動します☆
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助産所で産む!?
「助産所で出産する」・・・それが自分の身に起こるとは、数ヶ月前までは信じられない事でした。
長男(2歳)を妊娠した時には切迫早産と診断され、2ヶ月半の安静入院を強いられてひたすら点滴をしながら安静の毎日でした。
いざ出産のときは主人と妹が立会いをしてくれていたのですが最後は吸引分娩となり、破水以降は部屋の外に出され、ひとりぼっちでの出産。
産んだというより知らない間に産まれていた、というのが正直な感想でした。
生まれてすぐに新生児室に入れられるので部屋に戻ってからも一人。夕方両親が仕事を終えてかけつけてくれても面会時間外なので新生児室のカーテンは閉まったままです。
無理を言って看護師さんに抱っこさせてもらったもののナースステーションの隅っこでほんの一瞬だけでした。
翌日授乳室でベッドに何人か赤ちゃんが並べられ、どの子が自分の赤ちゃんなのかよくわからずよく似た赤ちゃんと間違えそうになり、あわてて足にマジックで書かれた名前を確認したことを覚えています。
産後は会陰切開の傷の痛みと吸われて切れた乳頭の傷の痛みとの闘いで、辛かった思い出しかありません。
それから2年、二人目の妊娠が判った時まず頭に浮かんだことは「あーまた安静入院か」
ということでした。
「でも今度は上の子がいるから入院なんかできない。子宮をくくる手術をしてもらおう」そう思って医師に相談したら「手術をしたからといって必ず早産にならないわけではない。逆にそれがきっかけで早産を引き起こすこともある」と言われ悩んだ末、長男を出産した病院に相談に行きました。
すると私の場合出産直前まで子宮口までの長さが平均4cmあり、張りもそれほど強くなかったので手術は必要ない、との事で手術はせずに自然に任せることになりました。
それからは毎日長男を公園や児童館に連れて行っては追いかけまわすという、安静とは程遠い生活を送っていました。
そんなこんなで月日は流れ、29週の検診の時「全く問題ないですね」と言われたてふと今まで心の奥にはあったけど口にすることも恐れ多かった(私でも助産所で産むことができるかも?)という考えが浮かんできました。
今までベビーケアサークルのお話会で何度も話しに出てきた助産所。心の片隅で憧れていた、家族に囲まれてのお産。憧れはありつつも自分には無理、とあきらめて敢えて考えないようにしてけれど、こんなにお腹が大きくなっても切迫の兆候もなく順調だったらいけるかも!
でも助産所ってどんな所だろう? 医師がいないということは、もしもの時はどうするんだろう? フリースタイルっていってもどんな体位で産むの??といろいろな疑問も浮かんできます。
ちょうどその頃ベビーケアサークルで貸してもらった「分娩台よさようなら」という本を読んで、分娩台で産むことのメリット・デメリットや自然分娩のすばらしさを知りますます思いは募る一方、もう「恋」です。
昼も夜もずっとそのことを考え悶々とした日を送っていました。
そしてある日思い切って家から一番近い助産所に電話してみましたが結果はNO・・・。
理由は既に30週に入っていること、年末年始にかかるので受け入れ病院の確保が難しいこと、現在みてもらっている産科との関係が悪くなる可能性がある等など。どれもおっしゃる通りでここまで決心できなかった私が悪い、とあきらめかけていました。
愚痴を聞いてもらうつもりでベビーケアサークルのむつさんにメールをすると「ダメもとで毛利さんに電話してみて話だけでも聞いてもらったら?もしお産がダメでも母親学級だけでも参加させてもらったら勉強になると思うよ」とアドバイスをいただき、また断られるのを承知で電話してみました
すると「一度お話を伺います」とのありがたいお言葉をいただき、妊娠30週で初めて毛利助産所に足を踏み入れることになったのです。
約束の日、夫と長男を連れて助産所を訪れるとそこは3階建ての普通の一軒家でした。
コタツに入って温かいお茶をいただきながら多恵子先生に今までの経過をお話しすると「いいですよ」と笑顔ですんなり受け入れてくださいました。
(やった~!!こんな素敵なお家で出産できる!!!)まさに天にも昇る気持ちでした。
夫は今までは助産所というところがどんなものか分からず 私が相談しても賛成も反対もできない、といった感じでしたが 実際訪れてみて「あそこだったらいいんじゃないの」といってくれるようになりました。
さて、あと気がかりなのは今までかかっていた産科のドクターに事情を話して紹介状を書いてもらわないといけない、ということです。
(30週過ぎていまさら別のところで産みます、なんて非常識な話気を悪くされるだろうな)(いっそ助産所のことは忘れてやっぱり今までの病院で産もうか、家からも近いし。いやここまできたんだから最後までがんばろう)と前の晩は眠れないくらいドキドキしながら病院へ行きました。
そこで順番を待っている間に2階の分娩室でお産があったらしく新生児のかわいい泣き声が聞こえてきました。少し遅れて父親らしき若い男性が入ってきて受付の女性に何か言っています。
すると受付の女性が事務的に「今赤ちゃんの処置をしていますのでこちらでしばらくお待ちください。30分くらいで終わりますので」と言って父親は女性ばかりの狭い待合室に待たされることになりました。その間も生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声はずっと聞こえています。
その泣き声を切ない思いで聞きながら、毛利さんならこんな思いをしなくて済んだだろうなあ、と思い最後の迷いが吹っ切れました。
ドクターに正直に話すとやはり顔色を変えられ「助産所か・・・」と絶句されました。そして「母子の安全を考えると助産所は薦められない。助産所に紹介状を書くことは出来ない」と言われました。さらに「何も問題がなければ原っぱででも産める」とも。
私も以前看護師をしていたので医療を軽視している訳ではありませんし、異常分娩の怖さも少しは分かっているつもりでしたが、こうはっきり反対されるとは思っていなかったので何も言い返せず、思わず涙がウルウル・・・ でも紹介状を書いてもらわないといけないので なんとか分かってもらおうと必死で説得して「主治医待史」という形の表書きの紹介状書いていただく事ができました。
そんなこんなで33週から残された日は毛利さんでの検診、連携している産科への受診、うぶごえクラスの参加、と忙しくも楽しい毎日を過ごし、無事に予定日を迎えました。
予定日を3日過ぎた12月某日の夜、ついに待っていた陣痛がやってきました。一人目のお産は8時間、二人目は約半分の時間と聞いていたので4時間くらいかなあ、と思っていましたが5時間を過ぎてもまだ5分間隔から縮まらず、ひたすら陣痛に耐えるのみ。(え~っこんなに痛かったっけ??)
一緒に来た家族も待ちくたびれて隣の部屋で雑魚寝をしてしまっていたそうです。
明け方になってやっとお産が進み、いきみたくなってきた頃、助産師さんが家族をそっと部屋に入れてくれました。 みんなが固唾を飲んで見守る中、母の「出てきた!!」という声とともに、ついに次男が誕生しました!
病院のお産では経験することのなかった神聖な感じ・・・薄暗い部屋の片隅でみんなが涙を流しながら新しい小さな命をじっと見つめている。ついさっきまでいなかった、小さな小さな命。とても不思議な幻想の中にいるようなふわふわした、体中の細胞が満たされたような気持ち。そして手の中に確かにある、ずっしりとした重み。
長男は寝起きでぼーっとしながらちょっとこわそうに、でもしっかりと赤ちゃんを眺めていました。
そんな厳かな雰囲気の中、主人がはさみでへその緒を切ってくれました。
それから毛利さんで過ごした1週間はとても穏やかで平和な毎日でした。
楽しみにしていた玄米菜食は想像以上においしくて、毎朝の芋茶粥と、昼と夜に種子先生が炊いてくださる玄米と小豆のご飯は絶品で、退院してからも自己流ですが続けています。
何よりも助産師さん達のきめ細やかなケアには心から癒されました。時には主治医のように傷の手当てをしてくれ、時には実家の母のように掃除洗濯などの家事をしてくれ、もちろん本業のおっぱいマッサージは毎日たっぷりしてくれて至れり尽くせりの入院生活でした。
ここまでの道のりは長かったけど最終的に赤ちゃんが毛利さんに導いてくれたような気がします。こんな穏やかな気持ちで産前産後を過ごすことができて本当に幸せでした。
助産所で産むということはリスクもあるので自分自身がしっかりとした信念を持って行動して自身の身体を管理しなければいけません。助産師さんは親身になって助けてはくれますが実践するのは自分です。皆さんに助けられ無事お産を終えたことで、今後の育児に対して前向きに取り組める自信がついたような気がします。
今回のお産を通してたくさんの事を学びましたがその中でも特に3点、まず産前産後を通して言われたのは身体を冷やさないようにすることです。
これは食べ物などで身体の中から温めるのと、靴下や湯たんぽ、足浴腰湯などで身体の外から温めることが大切で、自分の身体に痛いところを問いかけてどうすれば楽になるかを自分でいろいろやってみていい方法を見つけるというやりかたを教わりました。
今まで仕事の忙しさや育児の大変さにかまけて、自分の身体をいたわるなんて考えもしませんでしたが、今回いろいろと考えるきっかけとなりました。
2つめは食事のことです。
実際1週間毛利さんでの食事を食べている間、普段便秘の私に毎日お通じがあったし、おっぱいも問題なく出てくれました。面会に来てくれた家族にも少し味見をしてもらったのですが、みんなおいしいと言ってたくさん食べていました。
これから2人の子供を育てていくにあたって、今このタイミングで正しい食事のありかたを身をもって教えていただいたことは幸せだったと思います。
3つめは家事のことです。
助産師さんが、忙しい仕事の間や深夜遅くまで私たちの服を洗濯やアイロンまでかけてくれたりごみ箱のごみを捨てたりトイレをピカピカに掃除したり・・・
思わず「大変ですね」と声をかけると、「種子先生が普段から『家事を大切にしなさい。普段の生活の中にお産はあります』とおっしゃっているんですよ」と教えてくださいました。
普段家事の手を抜くことしか考えていなかった私には目からウロコでした。
毎日の生活を丁寧に送ることこそいいお産、いい子育てにつながるということを痛感しました。
ここで経験させてらったことを少しでも今後の育児に生かせていければと思います。
最後に今回お産に関わってくださった全てのかたがたに心からの感謝をこめて
平成19年1月8日
A・T


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